ヒヨドリは、国内の寒い地域から暖かい地域に移動する野鳥でしたから、一年中、ほとんどどこででも見かけます。
その巣は、公園や庭の木の比較的高い枝の股にあり、二階家以上のベランダからは、ヒヨドリの産卵から子育て、そして巣立ちまでを見ることができる場合があるそうです。
近年、ヒヨドリは、天敵から身を守る意味で、人間の近くにわざと営巣することが多いといわれています。
ヒヨドリの雛や、その子育ての時期と様子について調べてみます。
ヒヨドリの雛の様子
ヒヨドリの卵は、白を基調に淡いピンク地で、赤褐色と赤紫色の細かい水玉模様(斑点)のとてもきれいな、例えるなら宝石の様な卵だそうです。
・卵の大きさ(約):長い方30mm・短い方20mm・重さ6g
①産卵後約2週間
・卵から孵ったばかりの雛は、ネズミの子供の様に裸で、可愛さよりも気味が悪い
②孵化1日目
・目は開かず、声も出ない
・音に反応して口を思いっ切り開ける
③孵化5日目頃
・体の半分ぐらいの面積に筆毛が生える
④孵化6日目頃
・ただ軟らかそうだった体もしっかりして、口周りも固くなってくる
⑤孵化1週間
・急に筆下が伸びてくる
⑥孵化8日頃
・目が開く
・筆毛がほぐれて、柔らかい羽が増えてくる
⑦孵化9日頃
・ヒヨドリらしく羽が生え揃う
・この頃になると、巣立ちを迎える雛もいる
⑧孵化10日頃
・ほとんどの雛が巣立ちを迎える
※雛の成長は、目が開いたら巣立ちが間近というスピード成長でした。成長の順序は、まず餌をたくさん食べるのに必要な「口」から、次に内臓を守るための「体」、そして体を支える「足」と飛び立つための「羽」、「目」は最後に開き、見える様になったら、もう巣立ちの様です。
ヒヨドリの子育てとその時期
ヒヨドリの営巣の時期は、4月下旬頃から始まり、6月に入ってからの産卵が多いと聞きます。
ヒヨドリの子育ては、この営巣からすでに始まっている様です。
ヒヨドリのツガイは、営巣できそうな場所を探しますが、どちらか一方が巣の材料をくわえて、もう1羽はついて飛んでいるだけだそうです。
営巣に適した枝が見つかれば、その場所の周囲から巣の材料を運び込み、営巣を始めます。
巣ができあがるのは、営巣を始めて1週間ほどの様です。
都会のヒヨドリは、外側をビニールテープやひもなど、内側を小枝やワラなど、素材をちゃんと分けている様です。
巣ができあがったら1週間以内に1個目を、そのあとは、ほぼ毎日1個ずつ産卵し、多くて6個、だいたい4個~5個が多く、例えば、営巣が早くても遅くても、1個目の産卵をほかの個体と合わせるかの様に、ほとんど同時期に産卵を終える様です。
※産卵の時期か卵を温めている時期に、もしも襲われたら、その巣は捨てて出ていく個体が多いそうです。
雛が卵から孵ると、ヒヨドリのツガイは交代で餌やりをします。
雛が巣立ちを迎えるのは、孵化後約10日ですが、巣立ちといっても親鳥と同じ様に大空を飛べるわけではありません。
ただ巣を出て、近くの枝やベランダや屋根などを冒険する程度です。
そのために親鳥は、そのあとも約1か月近く、雛に餌を与え続けるそうです。
まとめ
ヒヨドリのツガイは、どの個体も同じ時期に営巣し、産卵する傾向にありました。
そして、卵から孵った雛は、丸裸から巣立ちまでがほかの鳥と比べて早く、わずか10日ほどですが、おおよそ「巣立ち=巣から颯爽(サッソウ)と飛び立つ」と呼べるものではなく、ただ巣の付近の枝や建物を羽の補助に足を使って飛び移る程度のことで、餌を捕ることもできず、それからも1か月近くは、親から餌をもらう様です。
よってヒヨドリの子育ては、全体では2か月ほどでした。
人間に拾われるのもちょうどこの時期で、あと少しで子育ても終わる雛ですから、親鳥からすれば「人間に誘拐された」と思うに違いありません。
そうやって、助けたつもりの人間に拾われた雛は、たいていの場合、命を落とすそうです。